◆ボロぞうきんさん−過労死タイプ

「ぼろぞうきんさん」

 

(表面的な特徴)

 

 このタイプの方はどういう性格の人でしょうか。

 

 最初のところは「行け行け」さんに似ています。A(きびしい親)が高いから人の指導が出来ます。しかし、B(優しい親)がさらに高いから、優しく、包容力があり、人がついてきます。さらにC(合理性)も高いから同時にいくつもの仕事をてきぱきこなせます。

 

 ここまでは似ていますが、その次のD(自由気ままな子供)が極端に低い。つまり、自分のやりたいことや言いたいことを極端に抑え、いやなことでもがまんしてします。そして、E(人の評価を気にする子供)が高いので、良い評価を得るために一生懸命に頑張のます。

 

 大変良い人です。ただ、世間で良い人というのは、自分にとって都合の良い人という意味合いがあります。確かに、こちらにとって、このような人は良い人には違いありません。ただ、本人は大変しんどくてつらい生き方です。

 

 どういう方に多いかと言うと、ナンバー・ツーや中間管理職の方に多いタイプです。縁の下の力持ちさんですね。こういう方をナンバー・ツーに持つと非常にい いですね。仕事の面では大変有能で、しかも自分を押えて誠実でひたすらです。上司から評価されると喜んでますます頑張る。

 

 夫婦でも相手がこういう方だと大変やりやすいですね。このような人を奥さんにしますと献身的です。ご主人は外で思いっきり仕事ができます。最近では、この ような人を旦那さんにしたいと思う女性も増えていることでしょう。D(自由気ままな子供)が高い人、つまり自分を主張する人が相棒ではこうはいきません。 俺が私がで喧嘩になります。


(対人・対自分関係)

 

 対人関係は、A(きびしい親)よりB(優しい親)が高いので、「あなたが正しい」という意識を持って生きています。

 

 対自分関係は、D(自由気ままな子供)が低く、E(人の評価を気にする子供)が高いので、「私は正しくない」です。しかも、Dが極端に低く、Eが極めて高いので、「絶対に私は正しくない」です。

 

 「周りの人は全て正しくて、隣のポストが赤いのも、今日の天気が悪いのも、みんな私が悪いのよ」、これではたまりません。ストレスの発散ができない。すべてを取り込んでしまい、大変しんどい生き方になります。


(自滅のシナリオ)

 

 自滅のシナリオの分析では、まず最初にすることは、自分は「不満さん」なのか、「不安さん」なのかを決めることでした。仕事や人生がうまく行かない時、 困ったことがおきた時、不満を感じるのか、不安を感じるのかということです。「ボロぞうきんさん」は、「不安さん」です。

 

 次に、A(きびしい親)、B(優しい親)、C(合理性)のどれに、どのような親からのメッセージを受けているかを調べることでした。「ボロぞうきんさん」 はB(優しい親)が高いので、この部分にメッセージを受けています。「人のために一生懸命働きなさい。尽くしなさい。そうすれば、 必ず報われますよ」、このようなメッセージが入っているのでしょう。

 

 どんな性格も「長所は欠点であり、欠点は長所」です。この方の場合は、良い評価を得るために、一生懸命働く。しかも、A(きびしい親)がほどほどあり、 人を指導できる。B(優しい親)がより高いので包容力がある。きびしいことを言っても、人がついてくる。C(合理性)が高いので、いくつもの仕事をてきぱ きこなせる。

 

 若いときには、大変重宝がられ、評価も高いことでしょう。問題は、中年になったとき、つまり仕事の量が多くなったときです。「ボロぞうきんさん」のところ には、仕事が集まります。仕事が誠実でしっかりなので、信頼できます。当然多くの仕事が集まってきます。限界になっていても、「ノー」とは言えません。 「ノー」と言えば、評価が下がるので「ノー」とは言えない。

 

 しかし、仕事が増えれば目が届かなくなり、失敗が起こります。「ボロぞうきんさん」は良い評価を得ることで不安を解決している人ですから、不安が広がります。

 

 この不安を解決する方法は、「ボロぞうきんさん」では、一生懸命働いて評価を高めることです。だから、さらに仕事をする。

 

 普段でも、E(人の評価を気にする子供)が強いので、何かしょうとすると何人もの顔が浮かんでくる。「この人はどう言うだろうか? あの人はどうか?」と 考えると何も出来なくなる。思い切ってしたら、今度はもっと多くの人の顔が浮かび、「何かまずいことをしなかったか? どう思われただろうか? 悪く思わ れなかっただろうか?」、と考えだすと不安になり夜も寝られなくなる。不安が強く、将来どうしょうかとか、あれやこれやと心配が出る。

 

 まして、現実に仕事の失敗が起きれば、追い詰められる度合いも非常に強くなります。そして、結局この方の不安の解消法は、もっともっと仕事や献身をする、つまりB(自分のための親切)を使う以外ないのです。それ以外の方法は御存じないのです。

 

 仕事さえ一生懸命にすれば、人の評価が上がる。経済的にも安心できる。だからますます仕事に打ち込む。

普通の時でも、この方の自分の価値の感じかたは、人の評価によって得られています。不安な時はなおさらです。人の評価を得るためひたすら頑張る。

 

 このように、不安が強くなればなるほど、自分を守るために仕事や献身を仕出すという落とし穴に陥ることが、自滅のシナリオです。

 

 本当のB(優しい親)は、「見返りを期待しない優しさ」ですが、自分を守るための優しさになります。充実感があるときは、どんどん人のために仕事や献身ができた。人のために働くことが楽しかった、喜びであった。

 

 ところがこんどは自分を守るためにする仕事や献身です。喜びでなくて不安でしている。自分を守るためにする親切です。不安と焦りでつぶれそうです。

 

 そうすると相手は断われません。本当の親切の時は、相手も「ノー」と言えるのですが、自分のための親切の時は「ノー」と言われると困ります。自分の損得が かかっています。だから何となく相手も「ノー」と言えない感じがする。つまり押付けの親切のような気がして、息苦しく逃げたくなります。

 

 逃げられると仕事がうまくいかないものだから、不安になってますます追いかける。執着する。するとますます相手は逃げていく。このような悪循環におちいります。

 

 家族や医者が休めといっても、休むことは仕事から離れることです。評価が下がります。この方にとっては、それが最も不安なのですから休めません。

 

 「人がどんな評価をしょうが、生きていくことぐらい何とかなる」、このような考えは普段も浮かばないのだから、不安に捕らえられて、C(合理性)が機能し なくなっている時には、全く浮かんでこないのは当然です。 不安を消すために、過食、お酒、タバコが必要になります。特に、夜はおなか一杯食べてお酒もた くさん飲まないと寝られないでしょう。

 

 こうして、ボロボロになって、肝硬変や脳卒中で倒れる日まで頑張ります。あるいは身体は何とかもっても、最悪の場合は自分を責め過ぎて自殺で終わることも あるでしょう。自滅のシナリオに吸い込まれていきます。以上のようなわけで、この方を「ボロぞうきん」さんといいます。まさに過労死タイプという感じがし ます。


(充実感テストとの関係)

 

 「ボロぞうきんさん」は、仕事の程度や量が少なく全体を十分見ることができる間は、有能で信頼できる人材です。この時期には、爽やか指数も比較的高く、不快指数も低いのは当然です。評価が高いので、安心できます。

 

 しかし、仕事が集中してきて、自分で十分目を通せなくなるとミスが起こります。このミスを挽回するために、さらに仕事をする。多くの仕事を抱えるからさらにミスが起きるという自滅のシナリオが動き出します。

 

 この頃になると、爽やか指数が低下し、不快指数が高くなって来ます。さらに、この状況が進行して行くと、疲れ果て最後は「無感動さん」になるでしょう。自殺の危険のあるタイプなので、充実感テストでこのような経過を見ていくことは非常に大切なことでしょう。


◆生活習慣病との関係

 

 「ボロぞうきん」は、精神的に欝になって倒れるか、あるいはがん・脳卒中・心筋梗塞で倒れます。


 減量、減塩、減酒、禁煙、ストレスの解消、運動など、およそライフスタイルのコントロールといった苦しいことは、こんな状態の時に出来るはずがありません。不安があるから、もっとお酒やタバコが必要です。過食になります。なんとか不安をごまかしたいのです。

 

 不安を解決しないで、お酒やタバコ、おいしい食べ物をやめろと言うことは無茶な話で、これでは苦痛を倍増さすだけです。出来ないことを無理にしようとし て、結局「また出来なかった」と、このタイプの方は自分を責めます。自分を追い込みます。ますます充実感が下がるので、不安が拡大し、お酒やタバコをさら に必要とするという悪循環に陥ります。

 

 医療スタッフはこのタイプの方に、軽々しく減量や減酒、禁煙などの指導を決してしてはなりません。この方の問題は生きている充実感の低下なのですから、こ の本のテーマである充実感を高める方法をサポートことです。

 

 充実感が高まれば、本当のA(きびしい親)、B(優しい親)、C(合理性)が発揮され、よい 仕事ができ、評価も上がりストレスが低下する。そして、その結果、生活習慣のコントロールも出来、がん・脳卒中・心筋梗塞の予防ができる、これが心身医学 の考え方です。


◆突然死と過労死

 

 世間では、突然死も過労死も同じ様に取り扱っていますが、突然死は突然死亡するという時間から見た定義ですし、過労死は過労が原因という原因からみた定義で、それだけでは内容がよく分かりません。しかし、性格分析から見ればいかにもピッタリという感じがします。

 

 「行け行け」さんは突然死ですね。仕事ができる、社会からも歓迎される、ますます仕事ができる。しかも楽しんでやっている、面白くて楽しくて仕方がない、 食べたり飲んだりの毎日で、困難が来てもますます闘志が湧く。不安を感じるEが低いし、自分は絶対に正しいと思っているので、医者も家族も止められない。 止まるときは突然死。

 

 「行け行けさん」は、自業自得だからしかたがない、という感じもしますが、「ボロぞうきん」さんは可哀想ですね。仕事は出来るのですが、少しも楽しんでし ていない、不安や義務感でしているので疲れ切ってしまう。「あなたは正しくて、私は間違っている」ですから、逃げ場がありません。


◆ボロぞうきんさんへの配慮

 

 「ボロぞうきん」さんに対しては、周りの人はよく理解することが必要です。

 

 第一点は、疲れが見えた時には決して励まさないことです。この方は不断から真面目で一生懸命しています。少しの失敗でも自分を責めています。150%頑張っているのです。

 

 疲れても頑張るので少しの時は外からでは分かりません。外から分かるほど疲れが見える時は本当に疲れ切っているのです。

 

 しかし、外から見ていると怠けていると見えるかもしれません。AよりもBが高いので、失敗を人のせいに出来ませんし、またDが低いので、自分を主張することも出来ません。だから、ただ仕事も出来なくて鈍くなっただけのように見えるかもしれません。

 

 このように落ち込んで苦しんでいる時に、「この頃どうしたの? 以前のあなたはもっとよくできたのに。みんなは、あなたの将来に期待しているのですよ」と 励ませば、「やはり自分は駄目なんだ。もっと頑張らないといけないのだ。しかし、もう頑張る力もなくなった。」という気持にさせるでしょう。

 

 励ますという ことは、今のあなたはだめだということと同じでしょう。崖の淵にかろうじて立っている人の背中をわざわざ押して谷底へ落すことになるのです。

 

 第二には、リーダーシップは苦手です。「ボロぞうきん」さんは、出来上がったものを維持することには適していますが、独創性の必要とするものや、全く新し いことをリーダーシップを持ってやることは適していません。これらにはD(自由気ままな子供)が必要ですが、「ボロぞうきん」さんはD(自由気ままな子 供)が極端に低いのです。

 

 余りにも仕事が良く出来て貢献度も素晴らしかったので、ある会社を任された方がいます。いままで社長の指示で動いていたのが、これからは自分が社長です。 しかも創造性を必要とする仕事でした。期待に応えねばならないという意識と、即断即決、新しい発展をしなければならない仕事、トップの孤独、この方が極度 の欝状態に陥るのに大して時間は掛かりませんでした。

Comment





   

Calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>

Archive

Mobile

qrcode

Selected Entry

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM